下河邉 元春 写真展「追憶の彼方から」

2006年1月6日(金)〜28日(土) 作家HP

 
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「コダクロームの保存性って凄いらしいよ・・・」
という何気ない友人の一言に触発されて明けてみたスライドファイルの中から、
追憶の彼方に追いやられていた「あの日々」がなんとも鮮やかに姿を現した・・・

「あの日々」ーー1968年1月〜71年12月。私は通信社の特派員としてパリに在った。
30有余年前のこの時期は、フランス現代史において特筆に価する激動の時代であった。
68年春の「5月危機」と呼ばれる学生と労働者による社会騒乱は、フランス第5共和制の屋台骨を揺るがし、
盟主ドゴール大統領の退陣劇の幕開けとなった。
こうした政治・社会不安は、フランス経済の脆弱性を一気に表面化させることとなり、
通貨フランは切り下げに追い込まれ、庶民の日常生活は翻弄された。

だが、こうした反面で、アメリカのベトナム戦争介入を批判し続けてきたフランスの外交スタンスが
反米勢力から評価され、「ベトナム和平会議」のホスト国として国際的な脚光を浴びることにもなった。

そんな混沌とした時代にあっても、フランスの庶民は時代に流されるでもなく、翻弄されるでもなく、
それぞれの生活のペースを乱さず、したたかに日々を生きつづけていた。

今回、展示する20数点の作品は、旅行者としてではなく、「あの日々」の生活と時空間を』彼らと共有した私が、
街で、旅で、時には仕事の場で、見たまま、感じたままを悠久の歴史の流れの一コマとしてカメラに収めたものである。

注:カラー作品の大半はKodachromIIで撮影、一部EktachromeXを使用。
モノクロームはTri-XPanとPlusXPanを使用。


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