勝又 邦彦 写真展「Skyline」

2009年10月2日(金)〜31日(土) 作家略歴

C prints, 1200x3000mm (image size 910x2600mm)  edition of 3, 750x1000mm (image size 280x800mm)  edition of 5, 457x560mm (image size 180x520mm)  edition of 10, with Kunihiko Katsumata's signature and edition notations              

 
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都市の中にありながらも、それを少し引いたところ−多くは高台−から眺めてみる。
すると、自然の稜線ではなく、人間の営みがつくり出した稜線が見えてくる。
都市の内側で渦巻きうごめいている人々の欲望が、地面を這いずり、とぐろを巻き、あるいは深く 澱のように沈澱し、たゆたうともなくたゆたって、長い時間を経ながら少しずつ空に向かって、光に吸い込まれるようにゆっくりとした上昇を続けてゆき、少し ずつ少しずつ何かに洗われるように、空に溶けていくように見える稜線だ。
そのとき僕は、人の欲望や悪意や嫉妬、黒々とした情念や邪念と、建設的な意志や想像力と献身研鑽の努力、そういった都市にまつわる全てを祝福したい気持ち にかられる。
日本においてこの線のほとんどは、この60年あまりの歳月の 中で形作られてきたものであり、今も日々移り変わっている。
そしてそれが一 瞬にして−天災、戦乱その他の暴力、あるいは新たな都市計画によって−崩れ去り、改変を余儀無くされることも今後あるかもしれない。
しかしこの線のどれもが欠けてはならないと思うのは、死すべき運命をもつものの感傷なのだろか。
それにしても、一体どこまでが地でどこからが空の領分なのだろう?

勝又邦彦


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