北井 一夫 写真集

北井一夫は、日本を代表する写真家の一人である。北井は、アッジェに衝撃を受けた以外、誰からも教えられることなく、20代初めから写真を撮り始めた。その時期は、ちょうど日本の学生を中心にした新左翼運動の興隆期で、北井はその運動とともに、反戦闘争、全共鬪運動をルポルタージュとして写真を撮りつづけ た。70年代になり、新左翼運動の後退とともに、北井は運動への挫折感をいだきながらも、一方では、それを埋めるべく新たなテーマを発見していた。そ れは、60年代の高度成長経済によって取り残され、誰も顧みることのなかった日本の農村とそこに暮らす人たちの生活の取材であった。この取材は、テーマのなかにみずからを主体的に投企していこうという姿勢のもので、それまでのルポルタージュ写真とは、写真と向き合う方法論が異なっていた。この一連の作家活 動によって、北井のテーマを包み込むようなまなざしが生まれ、この時期の代表作『村へ』となって結実した。そして『村へ』は、作家活動の始まりと評価された。70年代末から北井の次のステップが始まる。それは、北井にとって作家活動をより幅広くしていくためのテーマとの出会いであり、その発見であった。これ以降世紀末まで、作家として北井は、活動の幅を広げ、毎年のように写真集、個展を開催してきているが、世紀をまたぐ前後に、身近なモチーフとの取り組みを開始した。それは、自宅近くにありながら、これまで見過ごしてきた風景や日常の中に、生のカケラが伏在していたことの発見であった。写真と出会っておよ そ40余年のキャリアを持つ北井だが、作家という存在は複雑に変転する現実の社会を片方にみすえながら、なおかつ孤絶した<わたし>の領域をひそかにしな がら活動していくものではないかと考えているように思える。

「いつか見た風景

北井 一夫
Kazuo KITAI

2012年12月発行
2,600円+税
上製本/写真205点
サイズ  185×223×16mm

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 北井の作品は、多くの人に、懐かしい、どこかで見たことがある、と思わせる。それは実際に多くの人が体験している場面を選んだというわけではなく、北井本人だけが体験していることだ。しかしその時代に普遍的に行われている場面を的確に切り取ったからこそ、われわれはその時代の共有できるドキュメンメンタリーとして認識できるのだ。
 これから北井一夫とはどのような写真家なのか、と問われれば、私は北井一夫とは普通の生活をドキュメンタリーとして撮影する写真家である、と答えようと思う。(東京都写真美術館 学芸員 藤村里美 テキストより一部抜粋)


本書は東京都写真美術館の下記展覧会に関連して出版されました。

北井一夫「いつか見た風景」
会期:2012年11月24日(土)〜2013年1月27日(日)
主催:東京都写真美術館/朝日新聞社
協力:ギャラリー冬青

      

「Walking with Leica 3

北井 一夫
Kazuo KITAI

2011年12月発行
2,300円+税
上製本/写真56点
サイズ  160×292×12mm

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1975年ごろからどうもヤンチャな北井さんもおとなしくなりはじめ、今の北井さんになってきた様子です。そして代表作の「村へ」と続いていく、なかでもマタギの話しはいいなあー。こうして北井さんの発表作品と話しを追っていくとなるほど「ライカで散歩」が重要な北井一夫写真集なのかがおぼろげながら見えてきました。
彼にとってライカで散歩はスケッチなんだな。
タブロー、写真でタブローという言葉があるかどうか、を写す為のスケッチあるいはデッサンなんだと気づいたわけです。
あらためて「ライカで散歩」のvol.1、vol.2を取り出して見ました。
今度のvol.3は前の二冊に比べて少しちがってきました。ところどころにタブローらしき作品があります。オヤ北井さんは頑張ってきたみたいって感じられる作品が。
でもちっともムリはしていないんですね。

実川 暢宏

   

「西班牙の夜

北井 一夫
Kazuo KITAI

2011年1月発行
2,500円+税
上製本/写真42点
サイズ  200×265×10mm

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1978 年、北井一夫は、フランコ没後のスペインを訪れた。フランコの死によってスペインは、明るさをとりもどしつつあったとされるが果たしてそうだったろうか。 北井のスペイン取材は、どこかで他者に対して身構えるスペイン人の取材であったが、そこには1930年代のあのスペイン人の陽気さはなく、夜の深さばかりが身にしみたように思えた。

   

「Walking with Leica 2

北井 一夫
Kazuo KITAI

2009年9月発行
2,300円+税
上製本/写真59点
サイズ  160×292×11mm

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「ライカで散歩」 は、住んでいる家の近所を散歩することから始めたのだが、この頃は、外へ出ずに家の中だけで写真にならないかと考えるようになった。はじめは脱ぎすてた 「衣服」にまだ自分が残っているような気がしてそれを撮った。次に朝起きて抜け出したばかりの布団の「枕もと」を、そして何気なく窓のカーテンレールにぶ ら下がる「ハンガー」を、洗ってから食べるまでの「リンゴ」などを撮ると、面白くなって、次々にイメージが出るようになり、ついには妄想に突き動かされ て、作り事のようなかといって自然のままのような、自分でもよく分からないままに「ユズが3個」と「紙屑が3個」へと発展してしまった。

日本カメラの連載担当編集長がこの写真を見てついに「引き蘢りになってしまったみたいですね」とつぶやいた。そうか、引き蘢りとは楽しいものなのかと、私は声に出さずに心で思った。

(著者あとがきより)

  

「Walking with Leica 1

北井 一夫
Kazuo KITAI

2009年1月発行
2,300円+税
上製本/写真65点
サイズ  160×292×11mm

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本書は、月刊「日本カメラ」誌で2005年1月号から2006年12月号まで連載された「ライカで散歩」を再編集したものである。

モチーフとしたものは、北井の身近かで起こったことや散歩の途中で見つけたものである。

いわば、だれにでもある日常のささやかな「贈り物」である。

この「贈り物」を作家は、さほど力を入れずに、あるがままの<わたし>を表現するものとして撮影していった。

作家は、このような作法をもたらしたきっかけについて、体力の衰えであると語っているが、そのことによって見えてきたものの中間報告が本書である。

しかし、本書が日の目を見たきっかけとなったのは体力の衰えであったが、そのことによって作家は過去とは別の位置にみずからを転位させて、みずからを見ていこうという試みともなった。

(著者あとがきより)

   

「ドイツ表現派1920年代の旅

北井 一夫
Kazuo KITAI

2008年7月発行
2,800円+税
上製本/写真35点
サイズ 198x264x13mm
*オリジナルプリント付き限定版

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第一次大戦後の1920年代、ヨーロッパを中心として,主に美術のジャンルで表現主義という芸術運動が起こった。

この運動は、またたく間に 世界に広がるとともに,建築の分野まで影響を受けた。

30年ほど前、北井は,建築されてから半世紀以上も経過しているにも関わらず、芸術における今日的意 義と革命性が一向に色あせていない建築群があることに注目し、表現派建築の取材を開始した。

ドイツ表現派建築とは、1920年代にその頂点に達したユート ピア的建築のことだが、 20年代という熱気の中で、既成の概念を破って建築されたことは記憶されつづけなくてはならない、という。

   

「80年代フナバシストーリー

北井 一夫
Kazuo KITAI

2006年10月発行
2,800円+税
上製本/写真86点
サイズ 158x231x17mm
*オリジナルプリント付き限定版

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この写真集の原型は、『フナバシストーリー』(六興出版年)である。

北井は、40代の5年間、毎日のように船橋市内の公団の団地と近くの新興住宅を訪れ、そこに暮らす若い家族を撮影していた。

当時、日本のどこでも、これらの若い家族にとって団地は、新興住宅といわれる一戸建てに移る前の仮の住器と思われていた。

団地に住む家族の親の世代にとって、団地は仮のものであっても、そこで生まれ、育っていった子どもたちにとってそこが故郷となっていくのは当然のなりゆきであった。

本書は、船橋という東京の郊外都市、別名ベッドタウンとしてのフナバシの一画で暮らした人たちの80年代の記録である。

原型を大幅に改変し、再度編集し直してできあがったのが本書である。

   

「1990年代北京

北井 一夫
Kazuo KITAI

2004年3月発行
4,800円+税
上製本/186頁
サイズ 305x225x24mm
*オリジナルプリント付き限定版

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北井は,年譜にもあるように、旧満州の鞍山の生まれである。当然、当時のことは知るよしもないが、北京は北井の母にとっての曾遊の地であり、わずか一度であったが生涯忘れられない土地であった。

1972年、日中国交回復後、北京を訪れた北井は,母が繰り返し語った、夢の中を歩いているような」まちなみと出会って感動する。

その20年後訪れた北京は、やはり静かで落ち着いたまちであったが、それは長くは続かなかった。

熱い経済が開始され、日本の高度成長経済とバブル経済が一緒になったような狂乱の時代を迎えた。

本書は、その中にあっても、静かで落ち着いた暮らしを続ける北京市民の当時の姿を写し出している。

   

「1970 年代NIPPON

北井 一夫
Kazuo KITAI

2001年6月発行
5,000円+税
並製本/228頁
サイズ 185x245x23mm
*オリジナルプリント付き限定版

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本書は、『村へ』の決定版である.『村へ』は、1976年、アサヒカメラ別冊として、1980年、淡交社版として二度出版されているが、どちらも1974年から77年までアサヒカメラで連載された「村へ」「そして村へ」を中心に編集されたものである。

本書は、それらにくわえて、73年から81年まで撮影された2545本のネガの中から新しく作家によって選び直され,再編集されたものである。

本書には,70年代の日本の農村の普通の人たちの普通の生活が記録されており、今では、日本のどこへ行っても見ることはできない貴重なものである。

また、アサヒカメラ別冊、淡交社版は古書でも購いがたく,本書の刊行はかつての読者にも,新しい読者にも『村へ』の全貌を伺い知ることの出来る写真集と評価されている。

   
他社刊行物

DVD「北井 一夫 全集 1」 
村へ/神戸港湾労働者/学園闘争
/三里塚/ 鳥虫戯画/ おてんき/北京

SOLD OUT

DVD「北井 一夫 全集 2」
フランス放浪/新世界物語/1920年代ドイツ表現派の旅
/スペインの夜/境川の人々/ロザムンデ/信濃遊行

SOLD OUT


「BARRICADE」 
バリケード

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