「在所」 藤田 満
風土に根ざして、人の手で物が作られ生産され、静かでゆるぎない暮らしがある。人は見えないけれど、この辺りいったいに生活のリズムのような空気が動いている。
さまざまな姿形も意図してデザインされたものではない。
ここで生まれ、生活してきた大地への感謝と、生業からの必然と、必要か不必要かの区別と、そして山河の地形に寄りそうことに因る、そうあるべきさまとしての造形秩序であり、繁栄などという晴れがましいことではなく、ごく普通な田舎の町として生きてきた。
ふと半田良平の一首を思った。
「五月雛わずか並べて売る店の晴れがましさよ田舎町にて」
時世の経済の仕組みのもと、地方都市や公害の生態系が変わっていくなかで、いまなお、じっとそこに在る風景。
(著者まえがきより抜粋)
¥4,830(税込)2010年5月発売 菊判/上製本/写真142点













