萩原 義弘 写真展「SNOWYV」

2009年12月1日(火)〜26日(土) 作家略歴     写真集

Gelatin silver prints, 11x14inches, edition of 20, with Yoshihiro Hagiwara's signature and edition notations

       
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  一昨年の初冬のこと、夕張を訪れた私は、炭鉱が現役だった頃から何度も撮影した真谷地炭鉱跡に行ってみた。そこには使われなくなった古い炭鉱の事務所など があり、かつての産炭地夕張で、唯一炭鉱の面影の残る場所だった。遠くから事務所を見ると、窓枠がなく荒れ果てた感じだった。「まさか解体が始まったの か」と思い近づいてみた。夕張は財政が破綻し、建物を解体する費用などなく、しばらくは事務所は大丈夫だと勝手に思い込んでいた。しかし、あの頃は、鉄な どのスクラップの値段が異常に上がっていた時だった。近くにいた解体業者に聞くと、「油代にもならないが、破綻した夕張を応援するためにも解体する」と言 うことだった。本格的な解体が翌年の雪溶け後まで延びたのは、私にとってせめてもの幸運だった。

 その冬は、夕張に行くたびに炭鉱の事務所跡を訪れた。以前と比べて雪は年々少なくなっているが、窓のなくなった事務所内には雪が入り込み、ようやく「SNOWY」のシリーズを撮影することができた。

 写真集「SNOWY」のあとがきに、私の作品の原点である夕張のことを書いたため、「写真は夕張が多いのか」とよく訊かれる。もちろん夕張の写真はあるが、数は多くない。次に写真展をおこなう時には、夕張を中心とした雪の炭鉱跡で構成したいと思っていた。

 今回の写真展は、ここ数年の新作と未発表作品でまとめてみた。そして、すべて北海道で撮影したものである。

萩原義弘


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