萩原 義弘 写真展「SNOWYU the frosty hour」

2014年10月3日(金)〜25日(土) 作家略歴 写真集


Gelatin silver prints with Yoshihiro Hagiwara's signature and edition notations
       

       
       
 
       
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 「SNOWYU the frosty hour」

 もう20年以上前の事だが、今でも昨日のことのように思い出す事がある。厳冬の下北半島を旅しながら撮影していて、突然の地吹雪に遭った。東京暮らしの私には歩くのも困難で、咄嗟に目前にあった廃工場に逃げ込んだ。廃工場は長く使われていない様子で、窓ガラスはなくなり壁はコンクリートがむき出しの状態だった。壁の上の方まで雪がこびりつき、建物内は外と変わらないくらい寒く、まるで巨大な冷凍庫の中にいるような感じだった。建物内を見回すと、ひび割れた床の僅かな土から若木が生えていた。何年もかけやっと成長したのだろう若木は雪に覆われ、時々風で揺れていた。また、機材搬入用だろうか、額縁のように見える大きな入口から、吹雪の中に立つ樹形の良い木が見えた。それらの光景はとても美しく、私は寒さを忘れて夢中でシャッターを切っていた。東京に帰り調べてみると、そこは戦時中に砂鉄を製錬していた工場だった。
 この時の体験が、忘れかけていた冬の夕張での撮影のことを思い出させた。炭鉱マンの黒い顔と対照的だった白い雪に覆われた炭鉱の風景。そんな炭鉱のイメージが再び現れた。そして、その冬から「SNOWY」の撮影が始まった。
 春の訪れと共に消え去る一冬限りの風変わりな光景。私が撮影しなければ、もう二度と見ることができない風景でもある。

萩原義弘


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